中村六郎1914-2004

岡山県生まれ。
もともとは出版社などに勤務していましたが、父が金重陶陽氏と付き合いがあり、その影響を受けて陶陽氏の下で陶芸家への第一歩を踏み始めました。北大路魯山人氏が陶陽宅に来訪した際に、藤原啓氏や山本陶秀氏らと共に、その技術を学び影響を受けたと言われております。
作陶としては壷なども手掛けますが、酒器造りには定評があります。観音土のねっとりとした土味に、窯変で現れる深い緋色が出ており、徳利やぐい呑のような小さな器を舞台に表現するには卓越した技術が必要となります。文豪 井伏鱒二氏が亡くなる前に、ベッドの中で六郎氏の徳利をまさぐっていたといった酒にまつわる伝説が多い作家でもあり、「酒器の神様」と称される備前焼を代表する名工です。